歯科技工士さんが危機的状況

こんにちは。横浜市港南区港南台にある吉田歯科クリニック 吉田です。一ヶ月ぶりの更新になりました。八月は梅雨のような雨空が続いていましたがいかがお過ごしでしたでしょうか? 
私は、七月のドイツでの研修以降情報の整理とこれから始まる来年のアメリカでの学会の抄録締め切りに追われています。
ドイツでの研修で見えてきたコンピュータ化、AI化が進む中で、、、『歯科技工士さんが危機的状況』が見えてきました。
七月、ベルリンで開催されたISCD(international society of Cerec dentisty) 公認インストラクターの試験に行ってきました。日本ではあまり認知されていませんが、今後来るコンピューター化、AI(Artificial Intelligence)化の時代へ向けて世界は動いていまして、世界中に公認インストラクターを増やしている状況です。CEREC(セレック)とは、3Dプリンターのようなもので、特殊なカメラで読み込んだ歯の形のデータを機械で補綴物(被せ物)を作るものです。クリニックでは導入して3年ほど経ちます。
日本にセレックシステムが導入されて数十年たちますが、現在日本で使用できるセレックシステムは、iPhoneで例えると、iPhone5Sくらいです。今回ドイツで学ばせていただいたのはiPhone7くらいの状況です。
現在、世の中は、AI化進んできていて、数十年後には無くなる職業など巷を賑わせています。歯科の業界でもコンピュータによる被せ物の作成、インプラントのオペレーションのガイド、入れ歯もデジタル処理で製作可能な時代になりました。私が大学で学んだことは昔にように、そしてよりデジタル化したシステムへの順応が必要になっています。
今日お伝えしたいのは、補綴物(被せ物)を依頼する『歯科技工士さんが危機的状況』ということです。
下の図を見てください

コンピュータに取って代わるのごとく、歯科技工士さんの人数が減ってきているのです。そして、技工士さんの一番占めている年齢層が50~54歳、そして次世代に引き継ぐための25~29歳が7.5%しかいないことです。同年齢世代で見ると歯科衛生士さんの半分です。次世代がいない状況なのです。
匠な被せ物、インプラントの構造物、入れ歯を製作できる技工士は数少なく、かつ次世代も育ちにくい環境になっているのです。数年前の歯科技工士さんの国家試験も実技に多くを求めていたのですが、現在は少なくなっているのです。
歯科医療では、保険の被せ物から精密な保険外での被せ物など多くを要求されます。
特に、保険外での被せ物は、打ち合わせのやりとり、設計、色合わせ、確認、完成まで多くの工程を要求し要求されます。大きな治療では、リハビリの日数も含め、製作にも時間がかかります。このような知識と経験を積んだ歯科技工士さんが50代と危機的な状況なのです。
コンピューターで補綴物を作るにもコンピューターを操れなければできないので知識とスキルが必要です。そして操れてできるようになると、平均よりも質の高い補綴物を作ることができる、かつ仕事の効率化で正しい生活を送ることができるメリットがあります。しかし、精度の高い、本当にコンマ何ミリかの噛み合わせを作るには匠の歯科技工士さんは必要なのです。
歯科技工士さんが減少する理由は、『歯科医院の下請け感』『仕事が深夜に及び正しい生活が送れない』そして『技工代金のダンピング』
正しい方向に行かなければ、新しい知識やスキルのアップデートへの投資はできません。どんどん、今の状況から離されていくのです。
歯科技工士さんの危機的状況は、入り口である我々クリニック、歯科医師、歯科衛生士がより歯科医療の大事さ、価値観を伝えきれていないにあります。価値観を伝えることで、今後 コンピューターも匠なことも両方できる次世代のなり手を作らなければいけないのです。
皆様にできることは、一番は人工物を入れないようにやはり早めの予防歯科への取り組みと、日頃からの食生活、生活習慣のコントロールが大事であることは言うまでもありません。人工物が入った場合には、人工物が歯よりも強いことはないですので、食事への配慮、ナイトガードの装着、定期的なかみあわせのチェックをお願いします。

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